ヤクザの家族になっちゃった!?


「いずねぇ!お腹すいた!」

そう言って寄ってきた美幸。

「あ、もうそんな時間か、よし今日はハンバーグだよ!」

私は冷蔵庫からおからと肉、卵を取り出して作り始める。

なんでおからかって?

そりゃ、節約のためだよ

パン粉使う余裕ないからね。

安いおからを使うのさ

ハンバーグを作り終え、ご飯を食べて三人を寝かせる。


私の仕事はまだある。

もちろん、家事もなんだけど、

マンションの掃除もしなきゃいけないからね。

ちなみに私、ここの管理人のお手伝いもやってるの。

結構多くお小遣いとしてもらえるからほんと、助かるよ…。

もちろん、お母さんには内緒。

お母さんにバレるとまた意味のわからないことを言い始めるからね。


あ、もちろん私の通帳も全部肌身離さず持ってる。

だって、家においておく方が危険だから。

掃除が終わり、家に帰る。

「うぇぇぇいずねぇー!」

コウの鳴き声がしたから、走って部屋に戻る。

「コウ!?どうしたの?」

「うわぁぁぁん」

ずっと泣いてるコウ。

その声に起きた幸子が、

「いずねぇがいなくて怖かったみたい…。」

そう教えてくれた。

「幸子、起こしちゃってごめんね、ありがとね」

私は幸子にそう言って、笑った

もう平気だよって意味を込めて。

「コウ、大丈夫だよ。いずねぇ、ここにいるよ」

そういいながら頭を撫でると、

しばらく泣いて、すやすやと眠った。

台所で明日のご飯の下拵えをしていると、

寝起きらしきお母さんが部屋から出てきて私を睨み付けた。

「あのうるさいガキ泣かせないでちょうだい。
ったく、あんたがいるだけで迷惑なのに…」

…それでも親か。

そうは思ったけど、すいませんと一言いって作業を続けた。

そうだよ。あの女はもう、お母さんじゃないから…。


あの日から、

お父さんがいなくなったあの日から…

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