可愛いあの人は高校生
結局その日のうちに片付けを済ませ、明日離任式をするだけになってしまった。


もっと・・・ゆっくり片付ければよかったかな・・・・?



少し後悔しながら最後に校内探検でもすることにした。


美術室・・・
音楽室・・・
入ったことのない教室もあった。
少しずつ触れながら、加藤くんのことを思い出して。



そして、最後に加藤くんの教室に行った。
もうみんな下校していて教室には誰もいなかった。


静かな教室。
あたしの息だけが響いた。



加藤くんの席に座ってみる。
すると加藤くんの淡い匂いが香ってきた。
それだけでたくさんの思い出があたしの中を埋め尽くしてゆく。
それだけで涙が出た。





「好きだよ・・・?」



ぼそっとつぶやくと、
その声だけが響いた。






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