謝罪のプライド
14.縛る男と縛られたい女

 朝日が窓越しに差し込んでくる。


「う……ん」


ゴロン、と寝返りを打つと固い体とぶつかった。浩生は私とは反対の方向を向いてまだ寝息を立てている。

今何時だろう。
今日は土曜だから寝坊してもいいはいいけど。

正気になって部屋の中を見回すと汚れが一望できるというか。
本も雑然と置いてあるし、昨日抜いだ服はここから玄関までポツポツと落ちている。

浩生が起きる前に片付けるか、と抜けだそうとするとそのタイミングで浩生が寝返りをうつ。


「……はよ」

「おはよう。まだ寝てていいよ」

「初音も寝てろよ」

「私……は、ちょっと片付けとかする。お腹もすくし」

「もうちょっと待てよ」


布団の中で探るように抱きしめられ、私は大人しくそれに従った。
彼の固い体で、私の胸が潰されそうになる。


「なぁ」

「なに?」
 
「今日、式場でも見に行くか」

「え?」

「結婚するならそこからだろ」


私は驚いて彼の顔を見る。寝ぼけているわけではないらしい、眼差しはしっかりしていた。

当たり前のように言うけれど。

いや、違くない?
まずは両親に挨拶とかじゃないの。

そう告げてみると、浩生は馬鹿にしたように笑った。
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