謝罪のプライド




カーテンの隙間から、朝日が差し込んでくる。


「……ん」


柔らかいシーツの感触、浩生の匂いに包まれている私。
極上の朝だ。

目を開けると、隣で横になる彼はまだ寝ている。朝食を作るために、こそこそとベッドから抜けだそうとすると腰の辺りを掴まれた。


「きゃ」

「まだ眠い」

「浩生は寝てればいいじゃん」

「いいからお前ももうちょっと寝ろ」


背中側からぎゅっと腕に抱きしめられた。
寝起きの彼は密着すると熱いくらい。


「ご飯作れないよ」

「外で食おう。朝定食」


まるで駄々っ子みたいに。
彼が私にこんな姿を見せてくれるようになったのは、付き合い出してから半年以上も経ってからだ。
私が敬語を使わなくなったのも、その辺りだったような気がする。



「勿体無いよ」

「稼いでるだろ。それくらい」

「毎日食べれるほど稼いでないよ」

「……俺が来た時だけでいいよ。いいからもう少し抱かせろ」


こめられた力に、簡単にベッドに引き戻される。彼は自分の体を押し付けるようにして私を抱きしめた。


「あー、柔けぇなぁ」

「朝からはしないからね」

「当たり前だ、馬鹿」


憎まれ口を叩きながら、幸せを感じるこの瞬間。

浩生と恋人同士になって二年。未だに彼を追いかけているという感覚は消えないけど、彼に愛されているという感覚も持てるようにはなった。

このまま、いつかは彼と結婚していつまでも一緒にいたい。
これが、一生続く恋になればいい。


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