謝罪のプライド

「ハイハイ。でもさー、一度会ってくれない? 私、今浮かれてるから。きっと冷静に彼を見れてないと思う。それに、実際自分でもビビってるのよ。出会ってすぐ付き合い始めて、四ヶ月目には結婚話よ? トントン行き過ぎてて怖い」

“だから、彼のこと初音の目で見極めてよ”

そんなお願いをされるなんてちょっとびっくりしてしまう。
私にだってそんなに男を見る目は無いんだけど。


「大丈夫じゃないの? お兄さんの友達でしょ?」


覗きこむようにしてそう言うと、亜結が自重気味に笑った。
驚いた。本気で不安なんだ。


「そうだけど。この歳になって女にフラれるような兄貴よりはアンタの方が信用なるから」

「あ、そう」


可哀想なお兄さん。
妹にこんなこと思われてるなんて思ってないだろうな。

その後も亜結の彼の話を中心に語り合い、気がつけば二時間ほど飲みながらくっちゃべっていた。






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