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ICUは別棟にあり、薄暗かった。

長椅子に座っていた和田が私たちを認めると、立ち上がった。

隣に祈るように座っているのは、弘樹の母親だろう。


「あなたたち学校は?」
和田が小声で言った。

「うちのクラスだけ休校」
亜矢音がすぐに答えると、
「弘樹の容態はどうなの?」
と、和田に質問を返した。

亜矢音は、いつも誰にでもタメ口だ。

「・・・あまり良くないらしいの。窒息したみたいで、今も意識が戻らないの」

「んだよっ、クソッ!」
健治が壁を殴って音が響く。

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