桜雨、ふわり。


―――昼休み。


せっかくお母さんが作ってくれた美味しいお弁当。

それを半分も残したまま、あたしはそっと蓋をしめた。



「……花奈?なんかあった?」


あっこが心配して声をかけてくれる。

それでもあたしは、「うんん、食欲なくってさ」って肩をすくめて見せた。


ずっと、森崎くんを執拗に追っかけていたのはあたし。

迷惑だったんだろうな、あたしの事。


お弁当を鞄にしまって、ぼんやりとパックジュースを飲んでるあたしを見て、あっこが不思議そうに首を傾げた。


甘ったるい苺オレ。

この甘さが大好きで、いつも幸せになれる。


でも、今日は、何も感じない。



「ねえ花奈、今日はいいの?」

「……んー?」


あっこの声も、遠くから聞こえてきて。
なんだか自分の体なのに、自分じゃないみたいだ。


「”森崎探し”しないの?」

「……」


今日もきっと、彼はあたしに見つからないようにどこかに隠れてるんだろう。

それとも、あの子といるの?

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