桜雨、ふわり。


トボトボと校舎を出て、ふと顔を見上げた。


茜に染まる世界の中、見覚えのある人を見つけて思わず足を止めた。




あ……。



校門を出た所。

ガードレールに寄りかかって、手元のノートに何かを書き記してる彼がいた。



「……森崎くん……」



小さく声が零れると、それを拾った森崎くんが顔を上げた。



なにもかもオレンジ。

真っ黒な森崎くんの髪も、燃えるようなオレンジに染まっている。



誰か待ってるのかな……。

あ、そっか。
きっとあの子だ。

一緒に帰る約束してるのかな……。


あたしの知らない間に、知らない人になっちゃったみたいだ。



森崎くんは手に持っていたノートをカーディガンのポケットにしまうと腰を上げた。



俯いていた視界に、長い影が落ちる。

森崎くんの影があたしを覆い、顔を上げると逆光になった彼が真っ直ぐに見下ろしていた。



ドキン

ドキン



き、気まずい……。



< 15 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop