桜雨、ふわり。
トボトボと校舎を出て、ふと顔を見上げた。
茜に染まる世界の中、見覚えのある人を見つけて思わず足を止めた。
あ……。
校門を出た所。
ガードレールに寄りかかって、手元のノートに何かを書き記してる彼がいた。
「……森崎くん……」
小さく声が零れると、それを拾った森崎くんが顔を上げた。
なにもかもオレンジ。
真っ黒な森崎くんの髪も、燃えるようなオレンジに染まっている。
誰か待ってるのかな……。
あ、そっか。
きっとあの子だ。
一緒に帰る約束してるのかな……。
あたしの知らない間に、知らない人になっちゃったみたいだ。
森崎くんは手に持っていたノートをカーディガンのポケットにしまうと腰を上げた。
俯いていた視界に、長い影が落ちる。
森崎くんの影があたしを覆い、顔を上げると逆光になった彼が真っ直ぐに見下ろしていた。
ドキン
ドキン
き、気まずい……。