王子様なDarling
「・・・本当に知らないの?」
更に傷ついたような香奈子さんの瞳がかすかに潤む。
「じゃあ教えてあげる。アイコは私の中学の時の親友で、」
香奈子さんの言葉を聞くのが怖い。
だけど私と先輩は恋人。
信じ合う事が1番大切だと恋愛大ベテランのママが言っていた。
「親友で、幹夫の彼女だった」
“やっぱり”そんな気持ち。
だけど揺るがない。
前に彼女がいたなんて、もう何度だって納得してヤキモチもやいた。
こんな風にリアルな名前まで知るとちょっと傷つくけど・・・でも!
胸辺りに手の平を置いて少し深呼吸をする。
ギュッっと手の平を握り前を向こうとした時、聞きたく無い一言が待っていた。
「今だって、ちゃんと別れてないし位なんだから!あなたと付き合い出す時までアイコと付き合ってたの!」
・・・え?
「うっ嘘・・・」
「嘘なんかじゃないわ。あなたはまだ入学したてだからそんな事も知らずに騙されたのよ。」
「騙されてなんかないもん!先輩は・・・先輩は私が傷つかないようにって!」
「じゃあアイコは?アイコをいない存在にして・・・アイコは傷ついてもいいの?」
「・・・あ・・・」