王子様なDarling

「・・・本当に知らないの?」

更に傷ついたような香奈子さんの瞳がかすかに潤む。

「じゃあ教えてあげる。アイコは私の中学の時の親友で、」

香奈子さんの言葉を聞くのが怖い。


だけど私と先輩は恋人。

信じ合う事が1番大切だと恋愛大ベテランのママが言っていた。

「親友で、幹夫の彼女だった」


“やっぱり”そんな気持ち。


だけど揺るがない。


前に彼女がいたなんて、もう何度だって納得してヤキモチもやいた。

こんな風にリアルな名前まで知るとちょっと傷つくけど・・・でも!


胸辺りに手の平を置いて少し深呼吸をする。

ギュッっと手の平を握り前を向こうとした時、聞きたく無い一言が待っていた。


「今だって、ちゃんと別れてないし位なんだから!あなたと付き合い出す時までアイコと付き合ってたの!」







・・・え?


「うっ嘘・・・」

「嘘なんかじゃないわ。あなたはまだ入学したてだからそんな事も知らずに騙されたのよ。」


「騙されてなんかないもん!先輩は・・・先輩は私が傷つかないようにって!」


「じゃあアイコは?アイコをいない存在にして・・・アイコは傷ついてもいいの?」

「・・・あ・・・」
< 47 / 56 >

この作品をシェア

pagetop