深海魚Lover
私の歩く速度にぴったりと合わせたように歩く靴音……男性?

私はいつでも走り出せるように、神経を研ぎ澄ませる。

「メイコさん
 
 メイコちゃん!
 そんなに急いでどこ行くの?」

「あっ、雛田さん

 ……よかったぁ」

酒屋を営んでいる雛田さん、彼女は配達を終えたところなのか停めてある荷台付きのオートバイのすぐ傍に立っていた。

彼女の傍に近づき、その腕に触れながら後ろを振り返り左右を見渡す私。

さっきまで感じていた気迫、今はもう感じられない。

「何々、どうかしたの?」

同じように後ろを振り返る雛田さんに私は言った。

「誰かにつけられてるような気がして……
 きっと気のせいですね」

「わからないわよ
 本当につけられていたかも
 
 ジュン君のお迎え?」

「はい、それと夕食の買い出しに」

「そう、ちょっと待ってついて行って
 あげるから」

雛田さんは携帯電話を取り出して、どこかに電話をかける。
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