深海魚Lover
どうして、涙が出るんだろう……


「全部貴方がいけないって思うんです
 
 だって構ってもらえるのはやっぱり
 嬉しい……」


息を吸うのも忘れるぐらい、一度に想いを口にする私。

パンパンパンと貴方が手を叩いた音が辺りに響いて、私はやっと黙ることができた。


潤む瞳……


「もう、それぐらいにしとけ!
 
 俺の他にも聞いてる奴が居るぞ」

「メイちゃんってば今、俺の存在
 忘れてたよね、ねえ?」


部屋の掃除をしていた、ツルさん……


「あっ……」


私ってば、人前でいったい何を話したの!?


ただ、『構ってもらえるのは、やっぱり嬉しい』、無意識に自分が発した最後の言葉が私はとても気になる。

その言葉を吐き出したことで、私の胸は今、スーッとしている。


それが、私の本音。


「続きは、またゆっくり聞くとして
 
 おまえさぁ、俺のこと怖くないのか?
 
 俺は今はこんなだが、普段は
 見たまんま、やくざで……

 まだ、きっぱりと足を洗ったとは
 言えない」
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