深海魚Lover
「妹じゃないって言ってるじゃない!

 妹なんかじゃないっ!

 妹なんてクソくらえ!」

運転する俺の左腕に咄嗟に触れた君の手、ギュッと強く掴む力、その必死さに俺は車を横に寄せて停車させた。

「絢、危ないだろう?」

「妹なんかに私、なりたくな、いよ」

詰まった言葉……『妹なんかに私なりたくなかった』

それが君の本音。

「ケイ兄、ケイ兄も私のこと嫌い?」

ケイ兄も……他に誰がいる?

「嫌いなわけないだろう

 お前とどうこうなったら
 関係がややこしくなる
 
 出雲にも何されるか……」

「何よ、半殺しぐらいなってよ

 あんた、ヤクザでしょう?」

「言ってろよ

 ……

 絢、泣くなよ」

「泣いてなんてないよ

 泣いてなんてない……」

手の平で顔が平たくなるくらい強く涙を拭う、君。
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