深海魚Lover
俺達もまた加瀬組で頭角を現していた頃で、ヤクザ家業にどっぷりハマって忙しく家に居る事は減り、特に出雲はひと月と顔を見せないこともあった。

だが一人立ちするだろう年齢の男達がこぞって家を出ずに帰って来ることの方が珍しく、傍から見ればおかしかったかもしれない。

三人、バラバラの生活を送る。

『ムリだ!

 お前は俺の妹』

愛することに疲れ果て安らぎを求めた先で拒絶された君のプライドはズタズタ。

そんな君を見てはいられずに俺はある日一人きり、夕方の真っ赤な空をボーッと見上げている君に言った。

「結婚するか?

 それとも他に見つけられたか?」

その声に振り返る君はとっても悲しい目をして、俺に微笑んでみせた。

「そんな人いないよ

 ……

 ケイ兄、あなたなら絶対
 そう言ってくれると思ってたよ、私」

そう言いながら俺の腕を取った君はその腕に甘え、そして俺を見上げて言った。
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