深海魚Lover
だけど俺は、貴女の変化の原因となった出来事を知らない----

「イズモ

 ちゃんと聞いてる?
 
 さっきの話だけど、私ね
 ケイ兄と結婚する」

「聞こえてる

 何度も言うな」

「じゃあ、何か言ってよ
  
 ……言いなさいよ」

結婚のことを絢から聞かされたはずの出雲は、それ以降も絢や俺に何も言うことは無かった。


貴女が最後にかけた想い、出雲に言って欲しかったであろう言葉……大体の想像はつく。


俺はただあの状況から貴女を救えるのであればと、自分自身の感情を殺すことぐらい何てことなかった、はずだった----

幼い頃に植え付けられた感情……『新しい家族、弟に妹』

それは貴女にとっては、とても残酷なことだったのかもしれない。

わずかな光(希望)さえ、私は貴女から奪ってしまった。


全てのものに見つめてほしい。

わたしだけを見つめてほしい。

ここでは、貴女の願いは叶わない。
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