深海魚Lover
組まれた腕をグイグイ引かれながら、出雲は店内へと入って行く。

そして、しばらくの間お酒を飲むこともなく安寿の話相手をさせられて、いい加減相槌を打つことにも疲れた頃、安寿は指名を受けてこの場を離れた。

出雲は、安寿の後姿を見つめてフーッと深い溜息をつく。

そんな出雲の隣に腰を掛ける店のママ。

「アンジュちゃん
 あの子、いつもはおとなしい子なのに
 イズモさん、あなたには気を許してる
 みたいね」

「いえっ、それより店混んで来ましたね
 私はそろそろ帰ります」

ママは席を立つ出雲の手に触れるとその手を強く引いてもう一度座らせる。

「あら、いいのよ

 もう少ししたら今日のところは
 アンジュちゃん上がらせるから
 待っててあげて

 そうだ、代わりに誰か女の子」

「いやっ、それは勘弁頂きたい」

「あらまあ、お酒でなく女に
 寄っちゃったのかしら
 
 何か冷たいドリンクを
 では、ごゆっくり」
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