深海魚Lover
そして二人の元へと歩み寄ろうとしたその時、今度は威圧感のある低い声が聞こえてきた。

「おにいさんだぁ?
 
 誰にもの言ってるんだ」

調子に乗った彼等が話しかけた相手は、厳つい風貌の年配の男性客とその一行。

「まあまあまあ

 威勢がいいじゃないか」

「すっ、すみません
 
 行こう」

「待ちなさい、君達
 加瀬組に用があったんじゃないのか
 何処の組のもんだ?

 よかったらこの私が
 お相手しても宜しいが……」

「いえっ!僕達は何も
 ほらっ、行くぞ」

男性の迫力に負けた二人は慌てふためいて店を出て行った。

それもそのはず、相手が悪い。

「逃げて正解だ」

そう呟きながらもう一度席についた出雲は椅子に深く腰を掛け、こっそりと男達にばれないように様子を伺う。

「ママ
 えらい客が湧いて大変だな」

「ええ、本当に
 峰の親分さん、この度は助かりました
 ありがとうございます」
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