深海魚Lover
そう、現れた一行は、加瀬組系峰組の組長とその子分達。

加瀬組跡目問題の黒幕である峰と会うことは避けたい、出雲。

「何々、気にする事はないさ」

「それではお席に……」

「いやっ
 今日のところは混んでいるようだし
 彼女、ヨウコに用があっただけのこと
 話し終えたら引き上げるよ」

「あら、そうでしたか

 彼女でしたらただいま接客中ですので
 今すぐ呼んで来ますね」

「ああ、できれば外で話したい
 
 表に停めてある車まで来るように
 伝えてくれ、頼むよ、じゃあ
 
 お前ら行くぞ」

店の外へと出て行く峰、彼と話し終えたママが急ぎ向かった場所には安寿の姿があった。

出雲は咄嗟に背を向けて知らぬ風を装ってみせるが、背中に視線を感じる。

店の外へと出て行く安寿の後姿を見た出雲は、彼女が自分に近づいた意味を知る。

「まんまとハメられてんじゃねえか」

苦笑する口元、唇の端に銜えた煙草に火をつけ燃え出た副流煙が上昇しては冷えて下降する様子を出雲はただ見つめている。
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