深海魚Lover
車内では----

安寿と話し終えた峰が、振り解かれた年老いた手を見つめる。

『やめて、放してください
 父が許すわけないでしょう

 アンタを殺したって赦さない』

「あのような言葉を親父に
 ヨウコさんには本当に
 困ったものですね」

「いやいや何
 私に逆らっても仕方がないことを
 ヨウコは重々に分かっているさ」

「彼女にカシラの件
 任せても大丈夫なんでしょうか

 ミイラ取りがミイラになるのでは
 ……」

「それならそれで構わない
 
 所詮、あれは捨て駒だ

 さあ、車を出してくれ」

二台の高級車が連なって走り去る様子を見つめる楼の熱い視線。

「あれに乗っていたのは?」

「峰組長ですね」

「峰のオヤジが
 ヨウコと何を話していた」

---輝く街のネオン、消える車。

しばらくして席を立つ出雲の視線の先に、出入り口付近で店内を見渡す充の姿が写る。

視線が合うと充はアチャーという顔をしては慌ててみせる。
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