深海魚Lover
「これでワシもやっと浅井のオヤジ
 や昔の仲間の元へ行ける」

「何を弱気なことを」

「とは言え、あの世にいる奴らは皆
 ワシに恨みを持ってる連中ばかりだがな
 
 特に、オヤジは浅井組を分捕ったこと
 相当怒ってることだろうよ」

窓の外、夜空を眺める加瀬組長は過去に思いを馳せる。

『兄弟、どうだ

 俺が言ったとおりになっただろう

 おまえは俺を裏切る……』

共に駆け抜けた仲間を裏切ったあの日----今まで自分がしてきた悪行の数々を思い出す。

「そんな昔話、オヤジは何とも
 思っちゃいませんよ」

「そうだといいが……
 
 兄弟、出雲の事支えてやってくれ」

「いやいや、こんな年寄りが傍で
 グダグダ言うのは時代錯誤ですよ

 後の事はイズモのボンに任せていたら
 何もかも大丈夫、心配は要りません」

「そうだな」

「疲れたでしょう
 さあ、お休みになってください」

「ああ、疲れた……」

ホッと安堵して眠りにつく加瀬組長を一人残して、部屋の扉が今ゆっくりと閉まる。

----
< 257 / 410 >

この作品をシェア

pagetop