深海魚Lover
「そうですよね、分かりました
 
 こちらからその旨、お話して
 おきます」

打ち合わせは何時間にも及び、お昼御飯を下山さんにごちそうになっている合間も話はずっと終わらない。

絵本の成功と共に舞い込む仕事の多さに喜びながらも、自分ができることには限度があると私は思い知る。

絵の構想は頭の中いっぱいに広がっているけれど、それを形にするのはなかなかに困難。


出版社を出た後、私はいつものように画材を見て本屋さんに立ち寄った。

時間も忘れて買い物に夢中になってしまった私は、買い物袋を手に家路を急いだ。

いつもの喫茶店の前を素通りしてまっすぐ家へ----

家の近くに辿り着くと、庭先に洗濯物が干されているのが見えた。

と、そこでホッとしたのも束の間

風に揺らめく角ハンガーに干されているだろう自分の下着のことを思い、私は何とも恥ずかしい気持ちになった。

「あ~、やっぱり」

風に揺らめく下着、ちゃんと外からは見えないように中側に干されている。
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