深海魚Lover
運転している京次さんの真剣な横顔。

貴方は前を見つめたまま優しい声で言った。

「芽衣子、おまえだけに任せねえよ
 
 親御さんに反対されたとしても
 二人で考えていこうな」

「はい、一緒に」

赤信号、停まる車----見つめ合う視線に近づく距離。

これはもしや、さりげなくキス……?

そう今は二人だけの時間ではなくて、離れる距離。

「あれっ、大人しいと思ったら
 ジュンジのやつ眠ってないか?」

「ほんとだ、眠っちゃってますね

 どうしましょうか、外食?
 起こしちゃかわいそうですね」

「そうだな、仕方ない
 芽衣子、夕飯あれでどう?」

京次さんが見つめた方向を見るとそこにはお弁当屋さんの看板。

「せっかく旨いもの食べようと思ったが……」

「いいえ、全然オッケーですよ
 あそこののり弁当、私好きです」

「じゃあ、決まりだな」

「はい」

お弁当屋さんの前に停まった車から降りる為に、腰元にあるシートベルトのバックルを見つめ手をかけた私。

スルスルスルと外れたシートベルト。

顔を上げた私の唇に触れる柔らかな感触は、キス。

初めてのドライブデート・キスは私の心ときめかす。
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