深海魚Lover
4階に到着するエレベーター。

「着いたぞ、静かにせえ
 無駄口叩くんは終わりや
 
 手分けして一部屋ずつ
 しらみ潰しに当たってくぞ」

「はい」

「加瀬出雲
 
 多少は痛めつけても構わへんけど
 緒澤の親分に会わせるまで命だけ
 は取るな」

一部屋ずつ、扉をノックして『掃除に来た』と掃除婦に言わせる。

相手が出雲でないと分かれば扉を閉めた。

そして、最後の部屋----ノックをしても返答はない。

「この405号室は、昨晩遅くに
 空室になったので今朝掃除を
 頼まれました」

扉の前、黒須と子分は顔を見合わせる。

「遣られたか?」

「はい、やられましたね」

「また、親父に怒鳴られんぞ」

「またってアニキ
 前は何を失敗したんすか?」

「失敗、してへんわ
 
 ただええとこで、邪魔しただけや」

「邪魔?」

「もうええ、はよ引き上げるぞ」

慌ててビジネスホテルから出て行く厳つい男達は表に待たせてあった車に乗り込み、行く先を変えて四方八方へと逃げて行く。

失敗したことを緒澤組長に知らせるために携帯を操作する黒須に聞こえる声。

「アニキ、今すれ違った車の男
 加瀬組若頭の子分……」
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