深海魚Lover
雛田は京次の背中を押して家の中へと押し入れ、ガラガラガラと勢いよく引き戸を閉めた。

ガッカリと肩を下ろして歩き出す華子に聞こえる声……

「同じ家から出て同じ家に帰る
 
 いいわね~」

「何言ってるの、あたりまえのことを」

「わざわざ待ち合わせしなくてもいい
 って話よ」

「ああ、そうねぇ……」

京次の家、閉まった戸を見つめる華子。

そこにはもう自分の居場所はなく……

張り裂けそうな胸を押さえ、華子は走って帰って行く。

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ガラガラガラと閉まる引き戸の音。

汚れたテーブルを拭く私の元に現れた京次さんは壁時計を見た。

「芽衣子、ありがとう

 片づけはそのぐらいにして
 少し早いがでかけるとするか

 どう、準備はできてる?」

「はい、でも早く着いても
 父は留守……」

「約束の時間ギリギリに
 伺うよりはいいだろう

 とりあえず芽衣子の家の
 近辺にさえ着いていれば

 どこかで昼食をとって
 後は時間と相談しよう」
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