深海魚Lover
横田を先頭にぞろぞろと帰って行く男達。

黒須もそんな彼等の後について行く。

ボロボロの姿の充の傍に近づく垣村に仲間は言う。

「いいんですか?」

「ああ、今日のところは奴と
 戦っても分が悪い

 見ただろう、あの面々を

 実質上、緒澤組は無くなっても
 奴等の結束は固いらしい

 今の俺達じゃ、完璧に遣られてたさ」

「……悔しいっす」

「済まねえな、ミツル?」

「違うっす、俺が悔しいのは横田が
 自分の息子だと分かった上で
 イズモの兄貴を……」

握り締めた拳を見つめる充の瞳は、とても寂しげ。

「もう何も話すな
 お前の言いたいことはよく分かる

 だがな、仕方ねえんだよ

 人情、道理に合わねえこと
 この世にはたくさんあるんだ」

「おかしいっすよ」

充の頭を強く撫でる垣村。

「立てるか?

 俺達も帰るぞ」

その頃、ひと足先に表に停めてある車に乗り込んで行く横田の瞳に映る出雲の姿。

険しい表情をしてそこに立ってる。

車から降りた横田は言う。
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