深海魚Lover
そう吐き捨てると出雲は次の瞬間、サッとしゃがんで破片を手に取り立ち上がると同時に横田へと向かって行く。


「オヤジ避けろ、刺される!」


流れる血----それは出雲の手から滴り落ちる。


「親父」

「俺は、無事だ」

「バカやってんなよ

 見せろ、酷い傷だ」


出雲の手を取る、黒須。


「放せっ、何てことない」


ギュッと強く握りしめ過ぎた破片は、出雲の手のひらの肉を深く切り裂く。

例えそんな状態でも横田を刺そうと思えば出雲は刺せたはず、確実に----

黒須は出雲の中に横田を親だと思う気持ちが芽生えていることを知る。


「こりゃ、縫わなきゃダメだ
 今すぐ病院に連れて行ってやる

 誰か、車を……」


手を自分の方へと引っ込める出雲。


「病院、そんな柄じゃねえよ
 俺は帰る」


出口らしい方向を見つめる出雲に横田は言う。


「出雲」

「アンタを遣れない以上
 もうここには用はない

 だが最後に一つだけ言っておく

 俺はアンタを父親だとは認めない

 出口は?」

「あっちだ」


黒須に案内されて出口へと向かう出雲の背に横田は声をかけた。
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