深海魚Lover
運転しながら出雲の無事を安堵する京次。

横田が刑務所を近々出て来ることは分かっていた。

そして、横田が出雲の命を二度と狙わないことも……


『井原の息子よ、そういう事だ
 
 その思い、飲み込んでくれ』


気になるは、加瀬組内部抗争の行方。

出雲の身に降りかかるであろう危険を思うと京次は一層深刻にならざるを得ない。


目覚めた獣は、眠れない----


その瞳に映る赤い光、考え事をしていた京次は急ブレーキを踏み後方車を気に掛ける。


赤信号----考えを巡らせる京次がふと見上げた空。


『キョンさん』


「絢、何も心配するな

 おまえに助けてもらったこの命……」


青信号----動き出した車。

運転する京次の視界に入った可愛らしいパン屋の看板は、その深刻な心を和ませる。


『キョンさん』

『ケイジさん』


「土産でも買って帰ってやるか」


行く末はどうなるかは分からない。

今は良くても、次は分からない。

動き出した時を止めること、できない。
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