深海魚Lover
車内には、男と京次の二人きり----


「おまえ、見ない顔だがどこの組のものだ?」

「知らないでしょうね、私は雇われの身でして」

「誰に雇われた?」

「私のご主人は言っておられます

 井原基次の息子である貴方が何故
 井原が忌み嫌う加瀬組の元構成員
 だった過去を持つのか

 確か亡くなられた奥様が関係されて
 いる……」

「その様子じゃ俺の親父の知り合いでも
 なさそうだな」


井原家と出雲達の関係を知らない男----


「湯河組、聞いたことはありませんか?」

「親父の……」

「そう、先代の湯河は貴方の父親の
 極道社会での親
 加瀬組長とは兄弟分で今は無き
 浅井組にとっては一番の戦力だった

 浅井組を継ぐのは湯河だった

 しかし、加瀬組長にして遣られ
 結果、浅井組共々奴に乗っ取られた
 という話です

 そして湯河を慕っていた井原基次が
 加瀬に復讐をし、彼は長い間刑期に
 服していた」

「その、今は無き湯河組が
 俺に何のようがある?」


男は、一瞬笑みを浮かべる。
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