深海魚Lover
「どうかした?」

「なんでもねえよ

 それより、俺はいつ眠った?」


気怠そうに、顔を覆う髪を俺は掻き上げる。


「ここへ来て私を抱いたそのすぐ後」


ホテルの一室に、肌を露出させた女……


「そうか……」

「抱いたこと、覚えてる?」

「ああ」


シャツを取り、肩に羽織る俺に女は問う。


「素面だもの、嘘つけない?」

「どうして嘘をつく必要がある」

「そうね、でもこの状況だと
 大抵の男はお酒のせいにして
 知らない覚えてないって言うわよ」


あっけらかんとそう口にする女。


「何、碌な男しか知らないのか?」

「ええ、私はそれで構わないけど」

「ふうん、煙草あるか?」

「ええ、どうぞ」
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