深海魚Lover
病人の前で泣くだなんてこと、一番やっちゃいけない!

俺は、馬鹿なことを仕出かした。

だいの大人がするべきことじゃない!

俺は……


「ほんとバカな……(兄貴)で

 すまねえ」

「なに、何が済まないの?」


ベッドにうつ伏せで眠る俺の頭を優しく撫でる、その手の感触。

隣から聞こえる女の声に、俺はつい妹の名を口にしてしまうところだった。


「じゅ(ん)……」


声に出さなくて正解。

この世にはいない人の名を何度呼びかけても、返事はない。

声に出せば、心が虚しくなるだけ……


ベッドから起き上がる俺は着衣は何も身に着けておらず、下着を取り穿くと床に落ちたシャツに目を止めた。
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