甘く熱いキスで
「それくらい平気よ。ライナーに比べたら……お父様やお母様に叱られるくらい、平気。だから、毎日会いに来てもいい?」
「それは――」
「お願い!今の私にできることはそれくらいしか思いつかないの。いけないことだってわかっているけど、でも、ライナーをこんなところに独りぼっちにしておけないわ」

そう言うと、ライナーはしばらく困り顔をしてユリアを見つめていたが、やがて大きく息を吐き出して額をくっつけてくる。

「貴女は本当に……怖いもの知らずのお姫様ですね」

呆れたような口調、それから唇が重なって、ユリアは目を閉じた。

たった数日なのに懐かしいような気がする柔らかさと温もりがユリアの鼓動を速めていく。

「は……っ、ん…………ぁっ」

剥ぎ取られた外套が床に落ちた音に、ユリアの心が期待で震える。

またライナーに触れてもらえる。まだ怖いという気持ちもあるけれど、離れていたライナーを肌で感じられることの喜びの方が大きくて、熱に浮かされてくらくらする。

唇が離れ、ライナーと視線を合わせると彼の瞳はどこか儚げに揺れているように見えた。ランプに灯した炎が揺らめかせるのか、それともライナーはユリアに触れることに迷いを感じているのか。

「お願い、ライナー。触れて欲しいの……」

もっとライナーに近づきたい――ユリアの心はそれだけだ。

ユリアがライナーに抱きつくと、ライナーの手がユリアの服の中へと潜り込んだ。外套の中は、動きやすさを重視してユリアの持っている最もシンプルなブラウスと膝丈のスカートだ。

ライナーはブラウスのボタンを外すことなく器用にユリアの肌に手を滑らせ、下着をずらして胸の膨らみに触れた。ユリアの微かな声が小さな小屋に響く。

ユリアは甘美な刺激にそのまま身を委ねた。
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