新米教師"L"
「いや、早いとこアイツらの名前覚えちまおうと思ってさ」

そう言うと、エルはテーブルの前に座り名簿を開いた。

「私さ、生徒に、深く関わるなって言われたんだよね」

知っている、と竜は言いそうになったが、黙って続きを聞いた。

「…それで、ちょっと、ホントに数時間くらいだけど、悩んだんだ。
生徒がそれを望むなら、って…
でも、先生と生徒が深く関わらないなんておかしいだろ!?

だから、私は、意地でもアイツらと徹底的に付き合うって決めたんだ。
そう、さっき決めた!!」

竜は、自分がエルと言う人間を見誤っていたことが可笑しくて
つい笑ってしまった。

エルはギクッとして、竜を見つめた。

「な、何で笑うんだよっ。何か、変か? この話」

「くっ…! いや、全く変じゃない。笑ったのは、俺に対してだ」

竜は、きっとエルが落ち込んでいると思っていた。
励まし、慰めるためにエルの部屋の扉を叩いたのだ。
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