明日晴れたら、






それからしばらくお互いなにも話さずに歩いていた。



私は、なんとなく重たい雰囲気を変えたくて、口を開いた。



「薺ちゃん、最近バイトどう? 塔田くんとはうまくいってる?」


すると薺ちゃんはとたんに目を見開き、焦ったように「ば、バカ! なに言い出すのよ急に…!」と、心なしか頬を染めて早口で言った。



そうこうしているうちに、分かれ道に来ていた。


「じゃあまた明日っ!」


顔を背けて、また早口で言った薺ちゃんは、早歩きで帰っていった。




「…ふふっ、あんな薺ちゃん初めて見たかも…!」


もしかしたら、塔田くんのこと、気になってたり、とか…あるのかな?



滅多に焦らない薺ちゃんが珍しく取り乱したから、私は少し笑ってしまった。





< 126 / 244 >

この作品をシェア

pagetop