僕は君の名前を呼ぶ


「っつあ!篠田がこんなこと言うから私もタクヤくんとお祭り行きたくなってきた!」




今度は逆に俺は橘に「タクヤくんって?」とこっそり聞いた。

すると橘は「都の彼氏さん。中学の先輩なんだよ」と教えてくれた。


彼氏はいるのだろうと予想はしていたが、年上だとは思わなかった。


橘から彼氏の存在をほのめかす話は聞いたことはないが、父親との一件で男性関係に敏感になっているということを考えると、彼氏はいないと簡単に想像できた。



…なに安心してんだ、俺。不謹慎だぞ。

俺は手を握り、こぶしの中で爪を立てた。


< 134 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop