僕は君の名前を呼ぶ
資料を少しパラパラめくるだけで、知りたかったことが目に入ってくる。
今までは、夢さえない自分に目をそむけてなにもして来なかったもんな。
夢が見つかった今、もう現実逃避なんかできない。してられない。
資料を一通り見て、両腕を天井に向けて思い切り伸ばすと、思わず「んーっ」と声を漏らしてしまった。
骨がミシミシと軋んだが、猫背になりがちな俺はそれが逆に気持ちよく感じた。
──ガラッ
教室の扉が開く音が聞こえたので顔を上げるとそこには…
「…橘?」
走ってここまで来たのだろうか、こころなしか呼吸が乱れている。