僕は君の名前を呼ぶ
「忘れ物しちゃった。家に一回帰ったんだけど、気になっちゃって」
「期末前に忘れ物なんて、マヌケだなあ~」と橘は苦笑い。
「これ、あげる」
俺はソレをこっち──つまり橘の座席の方に歩いてくる彼女に向けてヒョイと投げた。
球技未経験者の俺にしては、キレイな弧を描けているんじゃないかと思った。
「レモン、ティー?」
「走って来たんだろ?喉渇いてるだろうと思って。あ、でも、レモンティー苦手だったら無理して飲まなくて…」
「レモンティーは好きなんだけど…何で?わたしがここに来るってわかってたとか?」