僕は君の名前を呼ぶ


「星はさ、今は見えないけど、ちゃんと存在してる。俺たちの夢も、まだ小さいけど心の中にあるから。
だからさ。離ればなれだけど、頑張ろう。夢を叶えられるように」


彩花と俺の、ささやかだけど大きな夢。


「ふふ。星が聞いてたから、嘘吐けないね」


「ん。もうこの際星に誓うよ」


「なんて?」


「『ふたりで輝く未来を作ります』って」


“輝く未来”


具体的に言葉にするのは難しいけど、それはきっと、文字通りキラキラしていて、素晴らしいものなんだと思う。


苦しい今を乗り越えれば、そんな未来がやって来ると、俺信じたいんだ。


「うんっ」


涙を流しながら何度もうんうんとうなずく彩花。


涙も笑顔も、俺が守るんだ。




その晩は、ふたりで「暑いね」と言いながら抱き合って寝た。


久しぶりに心が温かくなった気がした。


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