僕は君の名前を呼ぶ
食後に突如勃発したスポンジ争奪戦。
俺はスポンジを握った手を頭の上にあげる。
彩花はスポンジめがけてジャンプしたり、俺の体を揺さぶったり。
そんな彩花を見てにやけたのは、俺だけの秘密だ。
俺のわがままで忙しくさせてしまっていたから。
今日くらい彩花を休ませたいのに、彩花はわかってくれない。
そして、お互い変なところで頑固だから、一歩も譲らない。
「じゃあ、彩花が俺にキスしてくれたらスポンジ渡す」
「…いいよ」
「えっ!?」
彩花は何のためらいもなく、俺の肩に両手をついてキスをした。
しかも、唇に。
びっくりした。
彩花のことだから、「やだ、恥ずかしいっ」なんて言って、キスしても頬にするだろうと思ってた。
「あは、スポンジいただきっ」
俺の気が緩んだすきに奪われるスポンジ。
この勝負、俺の負けだ。
しかも、完敗。
いつもより積極的な彩花に、俺は赤面するしかなかった。
今日一日彩花と家にいるなんて、やっていけるのか? 俺…。