僕は君の名前を呼ぶ
「彩花、今日はどうする?」
彩花がこっちにいる間は、たくさんのことをした。
ベタだけど、水族館、プラネタリウム、話題のデートスポット。
高校生時代にできなかったことをした。
昨日行った遊園地の、夜の観覧車は感動的だった。
普段より少しだけ、星に近づくことができたから。
あの日、すれ違いそうになった俺たちを結びつけれくれた星に。
「夜には東京駅に行かなきゃいけないから、ゆっくりしたいなあ」
「了解」
今日の最後の新幹線で彩花はN県に向かわなければいけない。
悲しいけど、これが現実。
幸せはまたしばらくお預けだ。
「あ、待って! わたしが洗うっ!」
「おい、今日くらい俺にねぎらわせろって」
彩花が作るおいしい飯で腹が満たされると、食後はどうも皿を洗う気が起こらなかったから。
「やだ、わたしがやるの!」