僕は君の名前を呼ぶ
「彼女のこと、大好きなんで」
「あら、海斗くんがノロケるなんて珍しいわね」
白い肌に真っ赤な弧を描き彼女は妖艶に笑った。
他人に自分の恋人のことを話すのはなかなか恥ずかしいもの。
酒のせいか、今日はなぜか口が動いた。
「会えないストレスで痩せたんだっけ。ダメよ食べなきゃ。海斗くんはただでさえモヤシ君なんだから」
「なんすか、モヤシって」
自分で言うのはあれだけど、そこまで言うほど細くなくない? 俺って。
痩せたといっても急激に体重が落ちたわけでもない。
まあいっか、モヤシでも…。
「つらいわね、会えなくて」
「慣れましたけどね。もう、3年になるんで」
「うふ、慣れほど恐ろしいものはないわよ?」
「…?」
俺の頭の中にクエスチョンマークが浮かんだ。