僕は君の名前を呼ぶ


青木くんのおかげで心が軽くなったかわりに、その日はあんな家になんか帰りたくないと強く感じた。

あの男がいる家には……帰りたくない。



委員会が終わり、いつものようにわたしのことを
家まで送ろうと歩き出した青木くんを見て、
わたしは思わず彼の制服の袖を掴み「帰りたくない」と言ってしまった。



青木くんを困らせるようなことをしてしまったと後悔した。

けれどその後悔はすぐに掻き消された。



「俺は…どうすればいい?」

青木くんが優しく声をかけてくれたから。


あの事件のことは思いだしたくもないし、もちろん誰にも話したくなかった。

でも、理由はないけどなんとなく青木くんならわたしを助けてくれるんじゃないかと思えたんだ。


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