僕は君の名前を呼ぶ


─────
──


ピピピピピピピピピピッ!!


けたたましい目覚ましの音に起こされた。


部屋のコンポからは、俺が好きなバンド、“Anachronism(アナクロニズム)”の曲が流れていた。


電源を切るのを忘れて寝落ちしてしまったようだ。


そういえば、桜の歌を聞きたくなってリピートさせてたんだっけ。

だからこの夢を見たのか…。


久しぶりに見た甘い夢にもう少し浸っていたかったけど、朝は時間がない。


今日から新学期。
たまには早く学校に行かなくては。


俺は白米にみそ汁、焼き鮭という典型的な日本の朝ごはんを食べながらさっきまで見ていた夢を思い出していた。


もう2年前の春のことになるのか。


結局俺はあれから彼女のことを見ていることしかできなかった。


1年生の秋に文化祭で彼女と同じ学年であるということを知れただけで、それ以外はなにも…。


< 9 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop