後悔なんて、ひと欠片もない
「こいつがよお、俺にいちゃもんつけやがったんだよ、マジムカつく!」
こんな風に人に言われたのは初めてだ。
脚がガクガクと震えてきた。
「えっと…すいません、だから、勘違いでしたって、謝ってるじゃないですか…」
心臓がバクバクと音を立てる。
私は震える声で謝り続け、必死に涙をこらえた。
いつの間にか、私の後ろには数人の人垣が出来ていた。
でも、誰もが面白がってる。
こんな時に限って他の従業員は誰も来てくれない。
「ちょっと、来いや…謝り方が気にいらねえ。詫びの仕方、教えてやるワ」
七三分けスーツの男が、私の腕をぐいっと掴んだ時。
「みぃっともねえカスだな…
女相手に何イキがってんだよ!」
野次馬を掻き分けて、背の高い黒いトレーニングウエアーを着た男が不良達の前に進み出た。
短髪をツンツンに立て、浅黒い肌。
精悍な顔立ち。
「なんだ、このクソガキ…やるのか?」
私の腕を掴んだ手は離された。
私は素早く野次馬の中に紛れ込んだ。