あたしとあなた
「…………」
「…………」
はい、沈黙。沈黙沈黙沈黙沈黙。
今何してるかって?
さっそく学級委員の仕事。
ひよりは用事があって手伝えなくて
ごめんねって申し訳なさそうに帰っていった
奏人からはまだ連絡来てないな~
「美緒ー?ってあれ美緒何してんの?」
うぅ、奏人だ
「あーえっとその…学級委員になりまして」
「そーなのか!んじゃ今日は先帰るな!」
意外とアッサリ
「…あ、うん」
ぽかーんとしてると
「気をつけて帰ってこいよ!」
といって帰っていった
再び静かになった教室
窓から心地良い風が吹いた
外をみると満開の桜。
ついさいきん2年生になったばかりのあたし
五十嵐くんとは1年生から同じクラス
あんまり話したことないけど(笑)
「…髪キレイだね」
透き通った声が聞こえた
茶色のゆるーくカールした
あたしの長い髪が風になびく
「そ、そうかな?」
夕陽に照らされた五十嵐くんにドキッとする
「かわいい顔できるんじゃん」
「…へ?」
かわいい顔?
「蒼井さんって1年のときからあまり笑わないから」
「そ、そんなこと…あるね」
たしかにそんなに笑ってない
笑うっていう能力を半分くらいなくした
「僕なんて楽しくなくても笑わなきゃいけない」
「無理して笑う必要ないのに」
「だって僕ってみんなの王子様なんでしょ?だから笑ってあげなきゃいけない」
あーわかった
このひと自分をつくってるんだね
王子様キャラってわけね~
「あ、みんなにいったらだめだよ」
「い、いいませんよ」
あした、ひよりに言っちゃおーっと
「立川さんにも言っちゃだめ」
……なんかこの人ちょくちょく
あたしの心読んでくるな〜
「わかりました。黙っておきます」
「信用できないな。まったく」
そう言ってあたしに近づいてくる五十嵐くん
え、なななななに?
「言っちゃだめだよ」
そういって
━━チュッ
一瞬だった
避けることもできなかった
五十嵐くんはあたしにキスを落とした