【完】切ないよ、仇野君



練習試合で消化出来なかった燻りを晴らす為と椿の家でバスケを打つというキャプテンとケイ先輩。


ため息混じりに二人と帰って行く椿。


バレーボール部が次に体育館を使うから、とグラウンドの隅にあるバスケコートでシュートの練習をするという雫ちゃんと、それに付き合う由貴先輩。


それぞれと別れ、私と泰ちゃんは二人で校門を抜ける。


泰ちゃんは私の通学路にあるバス停からバスに乗り、三つ先の停留所で降りたところが最寄り。


お互いあまりお喋りではない私達は、初夏の温かな風に包まれながら、黙々と歩き続ける。


「…………ちー、歩と随分仲良くなっちょったごたるな」


「え……あ、うん。友達になろうって言うてくれたけん、ラインで繋がって」


私より遥かに背の高い泰ちゃんが、今どんな顔をしているのか窺えない。


なんで、泰ちゃんは私と歩君とのことを会話に出したの?
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