【完】切ないよ、仇野君
「おー泰ちゃん!何やってたの?遅かったじゃん!」


教室の入口で立ち止まっていた私達だけど、仇野君に掛けられた元気な声で我に返る。


「はは、椿は足が早かけん、置いて行かれたわ」


その声に仇野君が答えると、声の主が席を立ってこちらへやって来る。


「今年も同じクラスとか、マージ奇跡。……っていうか、ちーじゃん。お前も同じクラスなんだ。泰ちゃんと知り合いだったんだ?」


声の主……小鳥遊椿(たかなし つばき)は去年文化祭実行委員会で一緒になって仲良くなったバスケ部男子。


高校に入ってからこの熊本に引っ越してきた、都会育ちの男の子。


染めてないのに小麦色の茶髪。更にくるくるの天然パーマで、耳までふわふわと伸ばしたトップと、下から中を刈り上げた髪型がお洒落な、生意気そうな可愛い見た目でニッと笑う。


このお洒落な容姿や訛りのない言葉遣い、可愛い顔と明るい性格に、女子人気が高い男子の一人である。


「ちー、また足長くなった?俺と同じくらいの身長なのに俺より長いなーいいなー」


そして、小鳥遊は頭が良い。私のコンプレックスに対して決して嫌な言葉にはしないけど気を遣わない言い方で触れてくる。
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