壊れるくらい抱きしめて
でも、戻ってこなければよかった。


自分のデスクに戻り財布をカバンに入れる。林さんのデスクをチラッと見ると資料がたくさん置かれたままになっていた。


席を外してるだけか。誕生日だし、少しくらい話がしたい。コーヒーでも買って待っていよう。


財布を握りしめ給湯室を横切り、自動販売機に向かおうとした。そんなとき、少しだけ給湯室の扉が開いていた。


気づかないふりをして通り過ぎれば良かったのに目を凝らして見てしまった。


きつく抱きしめあって強くキスを交わす林さん。そしてそのキスの相手は同じ同期で受付の鈴木理美。


理美と林さんはそんな関係だったんだ。後ずさりするもその場から動けない。このままじゃ二人が出てきてしまう。


理美には林さんが好きなことを伝えていない。誰にも言ってない。私の秘めた恋心なんて。


だからこうやって傷ついて涙を浮かべていても誰にも相談なんて出来ない。
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