壊れるくらい抱きしめて
松本さんのいる企画開発部は同じフロアだけどなかなか顔を合わせる機会もない。


唯一、顔を合わせるとするなら自動販売機くらい。だから私はあの日から毎日、一日に一度自動販売機に行くようになった。


さすがに毎日コーヒーを買うわけじゃない。その奥に女子トイレもある。少し遠いけれど松本さんの姿を見られるのならとついそこまで行ってしまう。



「おーい!恵那!!聞いてる?大丈夫?あいつらにあたしがガツンと言ってあげようか?」


「えっ?あっ、だ、大丈夫です。別の考え事してました。た、食べましょう」



無理矢理箸を進めると優香さんは納得いかないような不服な表情を浮かべるも自分もパクパクとサービスランチを食べ始めた。


優香さんの言うあいつらとは私の陰口を言う後輩たち。私はどうしてもオブラートに包めなくてつい、後輩たちにもきつい口調で言ってしまう。


それをよく思わない後輩たちが給湯室で私の悪口を言っているのを偶然通りかかって聞いてしまった。
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