【完】女優橘遥の憂鬱
 一瞬、よみがえった。

あの後で私はカメラマンに遣られたのだ。
又……
疼いていた。
社長の前で疼いていた。


「嫌だった。手錠を踏まれ、足首を片方ずつ抑え付けていたのが最初の三人だったから。つまり、監督に遣らせるためだと判っていたから。でも、身動きとれないの。それでも必死に腰を降って抵抗した。後で監督に言われたの。『まるで喜んでいる犬みたいだった』って。『だからもっと悦ばせてやろうと思った』って」




 その時私は覚悟を決めた。
カメラマンのことをを話そうと……
私が彼を愛した経緯を話そうと……

私はカメラマンを愛してるいる。でも、社長のせいで愛してもらえない女になったことを言いたくなったんだ。


「彼上手だった。『待った。先に遣らせてくれ。頼む、誰かこのカメラ持っててくれ』って言ったんだ。だからすぐにカメラマンだと解ったの」

私は私をイカせたあの場面を話し始めた。


「でも、そう言うが早いか、グングン奥まで入れられた。私はお尻を振っていたの。嫌だ、嫌だって束縛されてる手を振り払おうとしたの。それが私に出来る最大限の抵抗だったから……。それでも強引に入って来たの。そして、膝を立てたままの腰で激しく揺さぶられたの。でもその後で感じたの。本当は優しい彼の行為を……。身体の中を通り抜け、一番奥の壁をリズミカルに叩かれてね。その時既に痛いのは卒業していて、初めて気持ちいいって思ったの」

そう……
私は確かにあの時、あのカメラマンにイカされていたのだ。

だから私は未だにあの時の行為が忘れられずに、疼いてくるのだ。

だから、どんなにイヤな撮影でも我慢出来たのだ。
彼が……
カメラマンが又私を犯してる。
と思いながら……

そんなこと出来るはずがないと解っている。
だってカメラマンは私の目の前で、私の横で撮影しているのだから……


「その時、『さっき、コイツの顔を見た時ゾクッとしたんだ。苦痛に喘ぐ表情はただ者じゃなかった。そうか、初めてだったんか? だからあんなに拒絶しようとしていたんか? そりゃそうだ。いきなり……、しかもあんなぶっといのを捩じ込まれたらヒイヒイ言いたくもなるよな。きっと彼処が千切れそうだったんだろ?』って言ったんだ。私は御託を並べたんだと思ったの。でもね違っていた。彼はその後二度と手出ししなくなったの」




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