【完】女優橘遥の憂鬱
「えっ、今聞き捨てならないことを言ったな?」
「何も言ってないよ」
「いや、確かに言った。さっきの言葉をそのまま言ってみろ」
「さっきの言葉?…… えっーと、『母さん。彼女の笑顔素敵だろう。俺、彼女からそれを奪った監督が許せないんだ』確かそう言った」
「違う、その後!!」
「うーん。『でも一番許せないのは、八年間も彼女を救い出せずにいた俺なんだ』かな?」
「それだ!! お前、八年間も彼女を……」
父親は茫然としていた。その頬に涙を流しながら。
その事実に気付いて母親も泣き出した。
そして、私の体を思いっきり抱き締めた。
「俺だって、怖かったんだ。監督に脅されていたから……」
「脅されていた? でも貴方は、私のために……」
「俺は強姦罪で逮捕されるのが怖かったんだ。監督は、『一番罪深いのはお前だ』って言ってた」
「どう言うこと?」
「AVは、体外放出なんだ。それさえ知らず俺は……。監督が言ったんだよ。『お前の後は物凄かったぞ。安全日じゃなかったら、出来た子供はお前の子だ』って、そう言われて考えた、確かにって思った。『もしDNA鑑定したら、出てくるのはお前のだけだ』って。だから捕まるのが怖かったんだ」
「なんてことを……。よくもまあ、こんな可愛いお嬢さんを八年間も毒牙にさらしておけたわねぇ。アンタなんかもう親でも子でもない。さっさと出て行って。あ、この娘だけはおいていってね。私達が面倒みるから」
「はー、何だよそりゃ」
母親の言葉に彼は又沈没した。
「一番罪深いのは、やはりアンタね。その監督いいことを言うわね。やってることはいけすかないけどね」
母親は私の体を抱き締めながら言った。
「こんな可愛い娘に何もそんな苦労させなくても……」
母親は彼を睨み付けた。
「反省してる。だから彼女を返してくれー!!」
膝ま付いて両手を差し出す彼に、意地を張るように私を抱き締める母親。
凄く……、物凄く幸せだった。
私は又泣いていた。
「あれっ!? アナタ、何処かで会ってない?」
母親は私の顔をまじまじと見つめていた。
「ねえ、父さん。判らない? 確かに何処かで会ってる……」
「あー、肝心なこと言うの忘れてた!!」
彼が突拍子のない声を上げた。
「何も言ってないよ」
「いや、確かに言った。さっきの言葉をそのまま言ってみろ」
「さっきの言葉?…… えっーと、『母さん。彼女の笑顔素敵だろう。俺、彼女からそれを奪った監督が許せないんだ』確かそう言った」
「違う、その後!!」
「うーん。『でも一番許せないのは、八年間も彼女を救い出せずにいた俺なんだ』かな?」
「それだ!! お前、八年間も彼女を……」
父親は茫然としていた。その頬に涙を流しながら。
その事実に気付いて母親も泣き出した。
そして、私の体を思いっきり抱き締めた。
「俺だって、怖かったんだ。監督に脅されていたから……」
「脅されていた? でも貴方は、私のために……」
「俺は強姦罪で逮捕されるのが怖かったんだ。監督は、『一番罪深いのはお前だ』って言ってた」
「どう言うこと?」
「AVは、体外放出なんだ。それさえ知らず俺は……。監督が言ったんだよ。『お前の後は物凄かったぞ。安全日じゃなかったら、出来た子供はお前の子だ』って、そう言われて考えた、確かにって思った。『もしDNA鑑定したら、出てくるのはお前のだけだ』って。だから捕まるのが怖かったんだ」
「なんてことを……。よくもまあ、こんな可愛いお嬢さんを八年間も毒牙にさらしておけたわねぇ。アンタなんかもう親でも子でもない。さっさと出て行って。あ、この娘だけはおいていってね。私達が面倒みるから」
「はー、何だよそりゃ」
母親の言葉に彼は又沈没した。
「一番罪深いのは、やはりアンタね。その監督いいことを言うわね。やってることはいけすかないけどね」
母親は私の体を抱き締めながら言った。
「こんな可愛い娘に何もそんな苦労させなくても……」
母親は彼を睨み付けた。
「反省してる。だから彼女を返してくれー!!」
膝ま付いて両手を差し出す彼に、意地を張るように私を抱き締める母親。
凄く……、物凄く幸せだった。
私は又泣いていた。
「あれっ!? アナタ、何処かで会ってない?」
母親は私の顔をまじまじと見つめていた。
「ねえ、父さん。判らない? 確かに何処かで会ってる……」
「あー、肝心なこと言うの忘れてた!!」
彼が突拍子のない声を上げた。