【完】女優橘遥の憂鬱
「あった。これだ」
彼はそう言いながら、母親に画面を見せた。
「あっ、それそれ。それが何か? あっ、もしかしてその娘さんが見つかったんかい?」
「いや、違うかも知れない……」
「一体、何なの?」
私もその画面を見せて貰った。
「あれっ? この会社確か……」
「そうだよ。詐欺罪で告発する時にお世話になった、神野海翔君の父親の勤め先だよ」
「それが一体何なの。私早くその後を聞きたい」
「実は、彼女の母親かも知れないんだ」
「えっ!?」
一番驚いたのは私だった。
「嘘。私の母は育児放棄で逮捕されたって。事故で亡くなったのがその社長さんの奥さんだったら……」
「その人は子供を亡くしたばかりだったようだ。貴女が泣き叫んでいたから、自分の子供だと勘違いして連れて帰ったようだ。でも、決して育児放棄なんかじゃない。事故の時に頭を打っていて、その後遺症だったんだ」
「ああ、良く聞くわ。頭を打って暫くすると意識混濁になる場合もあるって。えっ!? 本当に本当の話なの?」
母親の質問に彼は頷いた。
「俺はずっと、貴女が許嫁なら良いと思ってきた。でも所詮夢だと諦めてた。だからかも知れない。俺の目には貴女の顔が、子供の頃に見た許嫁の母親に似ているような錯覚を起こしたんだ。ただの俺の願望に過ぎないのかも知れないけど……」
「あっ、そうだ!! お父さん思い出したわ。ホラこの娘、あの娘にそっくりだ。だからね。だから会ったことがあるって思ったんだ」
母親は更に強く私を抱き締めた。
「そうよ。間違いない。この娘はあの人の子供よ。赤ちゃんの時行方不明になった私の同級生の娘さんだ。そうよ。そうよ。まるで生き写しみたい。やだ、私……、なんで気付かなかったんだろう?」
「何でそんな大事な話を最初に言わなかった!! そうすりゃお母さんだって……」
「ごめん親父。俺だって半信半疑だったんだ」
「本当に本当なの?」
私だって半信半疑だ。
育ての親の借金で監督にがんじがらめにされていたからだ。
「俺、社長にも言ったんだけど……。貴女が許嫁ならいいのにとずっと思っていたんだ。その思いからか、どうか解らないけど、小さい頃に見せられた写真が貴女そっくりだったように思えて仕方なくなっていたんだ」
彼はそう言いながら、母親に画面を見せた。
「あっ、それそれ。それが何か? あっ、もしかしてその娘さんが見つかったんかい?」
「いや、違うかも知れない……」
「一体、何なの?」
私もその画面を見せて貰った。
「あれっ? この会社確か……」
「そうだよ。詐欺罪で告発する時にお世話になった、神野海翔君の父親の勤め先だよ」
「それが一体何なの。私早くその後を聞きたい」
「実は、彼女の母親かも知れないんだ」
「えっ!?」
一番驚いたのは私だった。
「嘘。私の母は育児放棄で逮捕されたって。事故で亡くなったのがその社長さんの奥さんだったら……」
「その人は子供を亡くしたばかりだったようだ。貴女が泣き叫んでいたから、自分の子供だと勘違いして連れて帰ったようだ。でも、決して育児放棄なんかじゃない。事故の時に頭を打っていて、その後遺症だったんだ」
「ああ、良く聞くわ。頭を打って暫くすると意識混濁になる場合もあるって。えっ!? 本当に本当の話なの?」
母親の質問に彼は頷いた。
「俺はずっと、貴女が許嫁なら良いと思ってきた。でも所詮夢だと諦めてた。だからかも知れない。俺の目には貴女の顔が、子供の頃に見た許嫁の母親に似ているような錯覚を起こしたんだ。ただの俺の願望に過ぎないのかも知れないけど……」
「あっ、そうだ!! お父さん思い出したわ。ホラこの娘、あの娘にそっくりだ。だからね。だから会ったことがあるって思ったんだ」
母親は更に強く私を抱き締めた。
「そうよ。間違いない。この娘はあの人の子供よ。赤ちゃんの時行方不明になった私の同級生の娘さんだ。そうよ。そうよ。まるで生き写しみたい。やだ、私……、なんで気付かなかったんだろう?」
「何でそんな大事な話を最初に言わなかった!! そうすりゃお母さんだって……」
「ごめん親父。俺だって半信半疑だったんだ」
「本当に本当なの?」
私だって半信半疑だ。
育ての親の借金で監督にがんじがらめにされていたからだ。
「俺、社長にも言ったんだけど……。貴女が許嫁ならいいのにとずっと思っていたんだ。その思いからか、どうか解らないけど、小さい頃に見せられた写真が貴女そっくりだったように思えて仕方なくなっていたんだ」